第一章
30歳の時に楽器の知識もあまり無い状態で独立しまずは仕入れをしなければと思い最初の渡航は香港、アメリカでした。
楽器店やオークション会場を見て回りましたが楽器を1台も買わずに帰って来ました!
当時の私の英語力は中学、高校の授業とラジオから流れてくる英語放送を
必死に覚えた程度で、詐欺師が横行している海外のオークションで買い付けをすることに不安があったからです。
帰国後この業界で自分は本当にやって行けるのかと自問自答の日々が暫くの間続きましたが、ここ数年を無駄にしたく無いと思う一心でなんとか立ち直りその半年後に行ったイギリスで初めての買い付けをしました。
サザビーズやクリスティーズのオークション会場に毎回長時間居るのですが
資金的に心細く、滅多に入札せずに本当に欲しいものが出るのをじっと待つ日々が続きました。その様子が外国人バイヤー達の目に不思議に映ったようで私に興味を持ったバイヤー達が
『入札もせずに何をしに来てるんだ?』
『退屈じゃ無いのか?』等と私に話しかけてくるようになりました。
彼らとだんだんと打ち解けていくうちに皆で食事に行ったり、酒を飲みに行ったり、仕事以外でも友人のような関係になりました。
その中に居たポールチャイルズ、ピータービダルフの推薦によりサザビーズ、クリスティーズのクレジットを楽器業界の日本人で初めて取得しました!
----つづく